『引き寄せの法則』は数多くの本が出版され、それを解説した数多くのセミナーが存在します。
はじめてこの法則を学んだ人は大いに感動します。
「自分の人生は自分でつくれるのだ」
「自分は何にでもなれるんだ」
と知って興奮します。それは当然なのです。
『本当の私たち』は制限のない世界にいますから。
『本当の私たち』は限りなく自由な存在ですから。
それが本来の私たちの波動、本来の自分自身だからです。
『引き寄せの法則』は本当の自分をほんの少し思い出させてくれます。
だから興奮するのです。
だからパワーを感じるのです。
ただ、こういう言い方は偉そうに聞こえるかもしれませんが、この法則を教える講師の方たちの中に、
この法則のある部分について、基本的な理解不足があるのではないかと思っています。
たとえば、本の作者やセミナーの講師は『引き寄せの法則』の成功者です。
自らこの法則を知り、それを実践し、成功した人たちです。
そして、この法則を学ぶ人たちは、この法則をはじめて知る人たちか、知っているけどうまくいかない人たちです。
法則を知った生徒は喜んで学んだことを実践します。
法則自体はとてもシンプルです。でも誰でも意図的に実践できるかといえば実際はなかなかうまくいきません。
うまくいかない生徒は「自分の理解が足りてないのかもしれない」と考え、
さらに別の本を読んだり、セミナーに足繁く通ったりします。
そのうち願望のいくつかは成功するかもしれません。
しかし、どうにもうまくいかないことのほうが多いのです。
できないと落ち込みます。
最初の頃は学び始めた頃の情熱や興奮が残っているので挫けずに何度もトライします。
でもやっぱりできない。
そしてできない自分を責めるようになります。
教わった法則自体に間違いはありません。でも多くの人は思うようにいかない。
じゃあ、なぜうまくいかないのかと聞くと講師はこう言ったりします。
「それは、あなたが望んでいるものより、望んでいないことのほうに焦点を向けているからだ」と。
確かにそうです。法則の基本は、
「自分の望んでいることに意識を向けることであり、すでにその夢は叶っていると信じること」
であり、
「まだ叶っていない現実に意識を向けているから、まだ叶わないという未来を引き寄せる」
ということになります。
それを聞いて生徒は、「あぁ、そうか。自分はまだ望むことより望んでいないことに意識を向けていたんだ」と気づき、再び夢に向かってチャレンジします。
これでうまくいく人もいます。
でもやっぱりうまくいかない人のほうが多い。
講師は「自分にもできたのだから、あなただってできる!」と励ましてくれるかもしれません。
講師の法則についての説明に間違いはありません。ほとんどは正しいのです。
しかし僕が疑問に思うことが二点あります。
一つは、彼らの話す成功談の中身がとても偏っていること。
もう一つは、「なぜうまくいかないのか」という説明が絶対的に不足している点です。
基本的に法則の本の著者、講師のほとんどは法則の成功者です。よって自らの体験を話します。
しかし、その成功談の中身を見ると、ほとんどは【お金や数字を基準にした成功】です。
仕事の成功談もあるかもしれません。しかし、それもあくまで【お金や数字の成功】とセットです。
「自分のやりたい仕事ができるようになった!けど、お金にはなっていない」
「レースに出場できて最高の気分だ!けど順位は最下位だった」
「毎日やりたいことをして充実している!でもお金では苦労している」
こういった数字を基準にしたものではない、自分の満足度を基準にした成功談は誰も聞きたくないのです。笑
あくまでも世間の多くの人にとっての【成功の基準】は、
大金を得ること、数字で結果を示すことになりがちです。
ときに講師の中には、「人生の成功はお金だけじゃない」とか「お金だけが価値あるものではない」と語る人もいますが、
彼らの成功体験はやっぱりお金や数字の成功を伴っています。
『引き寄せの法則』は自分の望んだものを引き寄せるための法則です。
世の中の多くの人の関心事は、【お金】【恋愛】【仕事】【健康】です。
ですので、どれだけお金を引き寄せられたか、どれだけ理想の恋愛相手を引き寄せられたか、
そういう話をすれば人々は喜んで聞いてくれます。
べつにお金を欲しがることは悪いことではありません。僕だって欲しいです。笑
誰かに「お金あげます」と言われたら喜んで受け取ります。笑
お金をたくさん得て、幸せを感じている人もいれば、
お金がなくて、不幸を感じている人もいます。
でも、お金が入らなくても心から幸せを感じながら生きている人がいるのも事実です。
そして、お金はあるけれど不幸と感じて生きている人がいるのも事実です。
お金が欲しい。喉から手が出るほど欲しいのに入らない。
こういう場合、確かに望んでいることより、望まないほう(お金が入ってこないほう)に意識を向けているからうまくいかないのかもしれません。
講師の中には「お金を得られない人はお金を得ることに罪悪感がある。だからお金に焦点を絞れない」と言う人もいます。
確かにそういうことはあります。両親や学校の先生が、お金を欲しがることを恥と感じていて、
「お金を欲しがるのは卑しい」という観念を子供に植えつけていたりしていることがあり、そういった環境に影響を受けてお金に罪悪感をもつことはあります。
けれど、引き寄せられない理由は本当にそれだけでしょうか?
ここからもう一歩深く考えてほしいのです。
望んでいるものがなかなか手に入らない状態、これは幸せでしょうか?不幸でしょうか?
望んでいることがなかなか叶わない状態、これはポジティブでしょうか?ネガティブでしょうか?
実はどちらでもないのです。
何かを願っているのにそれが叶わない状態、その状態自体に意味はありません。
良いも悪いもありません。意味はあなた自身が後からつくっています。
これは僕自身の経験でもあるのですが、
強く望んでいることなのになかなか叶わないときは、
「実は自分自身がそれを心から望んでいない」ことが多いのです。
お金の話でいうと、お金に困って誰よりもお金が欲しいと思っていても、
実はマインドの深いところで「お金にそれほどの価値はない」と信じていたりするのです。
人は「幸せでいたい」あるいは「幸せになりたい」と自然に願います。
『本当の私たち』は常に幸せを感じていることが当然の状態で存在しています。
だから「幸せでいたい」と思うことは当たり前です。
ただ、『本当の私たち』は物質世界で生きているわけではありません。
『本当の私たち』に肉体はありません。
肉体がないわけですから暑さも寒さも感じません。
よって、住む家も着る服も必要ありません。
肉体がないので老化現象に悩むこともなく、病気になることもありません。
肉体がないのでセックスもしません。
パートナーがいなくても寂しくありません。
なぜならすべての存在が一つになっているからです。すべての存在と常にセックスしているようなものです。
「すべての生命が一つで、必要なものははじめからその中にすべてある」
これが『本当の私たち』です。
その『本当の私たち』の記憶をかすかに憶えている(思い出している)人がいます。
そういう人は、この幻想の世界でお金に困ることはあっても、お金によって自分が幸せになれるとは信じ切れません。
実際にお金に困っているから「お金が欲しい」と言ってみる。
「自分はお金が欲しいんだ。当然だ」と自分に向かって何度も言う。
けれど、お金が自分を幸せにすることはできないこともうっすらと気づいている。
だから、自分が幸せになれないとわかっていることにエネルギーを注ぐこと、そこに意識を向けることにためらいが生まれる。
こういう人の場合、お金を(大金を)引き寄せるのは難しいのです。
僕から見ると、こういう人はお金を基準にした場合は非成功者ですが、
スピリチュアルな視点でいえば『本当の自分』に一歩近づいた成功者です。
何度も言いますが、「お金を欲しい」と思うことはなんら悪いことではありません。
でも良いことでもありません。そこに特定の意味は用意されてはいないだけです。
ただ、「お金が自分を幸せにはできない」と潜在的に信じている人が、
心からお金の価値を信じてお金に焦点を絞ること、大金を引き寄せることは難しいということです。
人間にとって、「価値がある」と信じることにエネルギーを注ぐことは喜びですが、
「価値がない」と信じていることにエネルギーを向けるのは苦痛でしかありません。
『お金』に意識の焦点を絞って大金を得られた人は、そこに価値があると心から信じられた人です。
【何かを引き寄せるパワー】 = 【自分がその価値をどれだけ信じているか】
と言っていいかもしれません。
あなたが心の底からそれに価値があると信じられたなら、何だって引き寄せることは可能です。
ここは幻想の世界なのですから。
でも、実際のところあなたがどんな価値を信じているのか、それはあなたにしかわからないことです。
あなたが信じる『価値あるもの』は何でしょうか?