私たちは無意識に『神』を恐れています。
恐れているからこそ、この幻想の世界にくりかえし戻ってきます。
しかし、私たちのマインドに根強く残る『神』への恐れは、マインドに潜むエゴ(フィジカルマインド)によって巧妙に隠されてしまいます。
よってほとんどの人は、「あなたのマインドに『神』への恐れがあります」と言われてもピンときません。
『神』を信じない唯物論者だろうと、日常的に『神の名』を口にする敬虔な信奉者であっても、同様に自分にある恐れを無意識に気づかないようにしています。
まずは、恐れがあると気づくことが私たちが『本当の自分』に近づく一歩となります。
私たちは無意識に『神』を恐れているのと同時に、
無意識に『神』を切望しているのです。それは、『神』を思い出すことが私たちの本当の幸福であるからです。
私たちは『神』とはどんな存在なのかを忘れてしまいました。
しかし、その存在がどれほど私たちを幸せにしてくれるのか、どれほど私たちを愛してくれているのかを、
ほんのかすかに記憶しているのです。
それはほんの小さな一片の記憶かもしれません。
それはほんの一瞬心をよぎるだけの掴みどころのない記憶かもしれません。
けれど、私たちはそのかすかな思い出を導きにしてこの幻想世界で生きているのです。
いつの日か、マインドの中から『神』への恐れを完璧に除去して夢から醒めるまで……。
あなたの中にある『神』への恐れはイコール【この夢から醒めることの恐れ】です。
まずは自分のマインドの恐れがどんなものか簡単にチェックしてみましょう。
以下の質問の中で一つでも「NO!」と答えるなら、あなたは『神』を恐れていることになります。
あなたが現在幸せに生きているか、不幸を感じて生きているか、どちらであっても質問は同じです。
Ⅰ, 「夢から醒めると今のあなたがイメージできる何千倍、何万倍の幸せが『神』によって保証されています。
一度夢から醒めたら二度とこの夢に戻ることはありません。永久にこの世界に戻ることはありません。
しかし、あなたが想像できないほどの幸せがあなたを待っています。
今、次の瞬間、あなたはこの夢から醒めることができます。あなたはどうしますか?」
Ⅱ, 「あなたが『神』のもとに帰ることは、同時にこの幻想世界のすべてを忘れることになります。
あなたが夢から醒めると、あなたは今の自分の名前も顔も思い出せなくなります。
この世界であなたが関わったすべての人についての記憶も完全に消えてしまいます。
しかし、あなたが『神の世界』に帰ればそんなことはどうだってよいと思えることは『神』によって保証されています。
あなたは夢から醒めたいですか?」
Ⅲ, 「あなたが幻想世界を捨てて実在の『神の世界』に帰ることは、
同時にこの幻想世界で築いたすべてを捨てることになります。
この世界で得た財産、地位、名誉はもちろん、長年かかって自分のものにした知識や経験、
あなたが培ってきたあなたの【個性】といえるすべてを手放すことになります。
その代わり夢から醒めれば、あなたはあなたが「足りない」と信じてきたものすべてを手に入れることができます。
それらはこの幻想世界にあるものと同じようには見えませんが、この世界にあるものと比較にならないほど素晴らしいものです。あなたは今この瞬間、夢から醒めることが可能です。あなたはどうしますか?」
質問は以上です。どうでしたか?
質問の1つでも「YES!」と答えられるものがあったでしょうか。
一つも「YES!」とは答えられなかったのではないでしょうか。
僕も最初の頃は、すべて「NO!」でした。
大抵は夢から醒めることは疑いを通り越して恐怖を感じさせます。
この恐怖こそが、『神』への恐れであり、私たちのマインドが誤って生み出した【エゴの声】なのです。
もしかしたら条件付きの「YES!」ならあり得ると思った方もいるかもしれません。
つまり、「本当にこの世界以上に素晴らしい世界が待っているという確実な保証があるなら夢から醒めてもいい」というような条件です。
あるいは、「いずれはそうなりたいですが、今はまだ遠慮しておきます」かもしれません。
しかし残念ながら、実在に疑いを持ちながら同時に夢から醒めることは不可能となっています。
私たちはスピリットです。そのスピリットの中にマインドがあります。
そのマインドで信じているものを私たちは見ています。
私たちが自分の目の前につくりだしている夢は、私たちの信念そのものです。
私たちが目の前にあるものを「実在」と信じながら、同時に「幻想」と信じることはできません。
私たちは、二つの相反するものを同時に信じることはできません。
あなたが夢から醒めるということは、この幻想世界ではなく、ここからは見えない実在の世界を完全に信じるということです。
目の前にある幻想を肉眼で見ながら、その存在を実在のものとは信じないということです。
代わりにその幻想の向こう側にあるものを真実と認識すること、それが夢から醒めるための必須条件なのです。
つまり、幻想の世界から実在の世界を垣間見て、その素晴らしさを先に確認できてから、安心して夢から醒めるということはできないのです。
あなたは【自分が見えるものを信じている】のではなく、【自分が信じているものを見ている】のですから……。
私たちがやるべきことは、時間をかけ少しずつ少しずつ「自分たちが信じてきた間違い」を解除してゆくことです。
「自分は真実を何も知らない」ということを認めることが最初のスタートです。
同時に、「自分は『神』をはじめとした私たちを愛する見えない存在たちの助けを借りなくては何もできない」ということを自覚すること。
そこから『神』への恐怖心を少しずつ解除してゆくのです。
エゴがつくりだす幻想をエゴの視点で解釈するのをやめて、
その幻想を『神の視点』、『ハイヤーセルフの視点』で再解釈できるようになること。
そうやって自分の人生の一つひとつを「ゆるしていく」ことが、『神』への恐れを除去していくことにつながります。
夢から醒めると多くを失うと思ってしまうのは、私たちが「何にも知らないから」です。
「知らない」のは、「知ることを恐れているから」です。
恐れを解除するごとに、あなたは多くを知るようになります。
あなたが多くを知るようになるにつれ、あなたの中の恐れは解除されていきます。
そうやってだんだんとあなたは『本当の自分』を思いだしていきます。
そうやってだんだんと『神』に近づいてゆくのです。
そうやってあなたは懐かしい『愛の故郷』に帰っていけるのです。