僕は今までたくさんのスピリチュアル関係の本を読んできましたが、
その中で特に影響を受けた本の一つについてお話します。
『奇跡講座 テキスト編、ワークブック編、マニュアル編』
(ヘレン・シャックマン 記 ウィリアム・セットフォード、ケネス・ワプニック編
加藤三代子/澤井美子 訳)
中央アート出版社
『A Course in Miracles 奇跡のコース 第一巻、第二巻』
(ヘレン・シャックマン 記 ウィリアム・セットフォード、ケネス・ワプニック編
大内博 訳)
ナチュラルスピリット
2冊共に同じ原作『A Course in Miracles 』の翻訳本です。
すでにご存知の方も多いかと思いますが、ここでは全くご存知ない方に向けてお話します。
この本は欧米で有名な本ですが、日本でも読者は増え続けていると思います。
この原作本について簡単な紹介をします。
ニューヨークのコロンビア大学で医学心理学科の助教授だったヘレン・シャックマンが、
自らの「内なる声」が語り続ける内容を、同学科で上司でもあったウィリアム・セットフォードの協力を得ながら、
1965年から7年間にわたって執筆、編集をしたのがこの『奇跡のコース』です。
1976年に『奇跡のコース 3部作(テキスト篇・ワークブック篇・教師のためのマニュアル篇)』としてアメリカで出版されました。
スピリチュアルな知識に特別興味もなかった医学者のシャックマンは、
ある時期から自分の内側から『名前を名乗らぬ何者かの声』が聞こえるようになりました。
その声は、語る内容からして、ほぼ間違いなく『イエス・キリスト』であろうといわれています。
『奇跡講座』と『奇跡のコース』は別々の出版社ですが原作は同じです。
出版時期や翻訳にあたってのコンセプトなどに明確に違いがあります。
『奇跡講座』は著作権保有者であるFACIM(Foundation for A Course in Miracles)から公認されたものですが、ナチュラルスピリット版は法的に問題はないのかもしれませんが正確には非公認で出版されたようです。
詳細についてはこちらで説明されています↓
http://www.jacim.com/acim/?p=2284
以下、JACIMとFACIMそれぞれについての説明はJACIMのホームページからの引用です。
JACIM = JA (日本語) + ACIM (ア・コース・イン・ミラクルズ)
JACIM(ジェイシム)とは、『奇跡講座』を学ぶ人々のために、Foundation for A Course in Miracles (FACIM)からの学習資料を、日本語で提供するサイトです。
FACIM (『奇跡講座』のための財団)は、『奇跡講座』の出版元である FIP (内なる平安のための財団: Foundation for Inner Peace) の兄弟組織であり、1983年に設立されて以来、『奇跡講座』の教育センターとしての活動を担っています。
このウェブサイトは、 FIP/FACIM監修の邦訳 『奇跡講座』 の翻訳者二人が運営しています。
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日本ではナチュラルスピリット版の方が先に出版されており、
僕はこちらを先に読み、後々に『奇跡講座』版を読ませていただきました。
僕がスピリチュアルな世界に興味を持ちはじめたころ、スピリチュアル関連の本にこの『コース』のことが度々出てきました。
気になって読みたいと思ったのですが、当時はまだ日本語版は発売されてなかったこともあり、いつのまにか『コース』のことは忘れてしまいました。
それから、何年も過ぎて、僕はもう自分の人生に限りなく絶望しておりました。
仕事もなくし、夢もあきらめ、長年の病気は治らない、歳ばかり取ってゆく。
毎日「どうしたら死ねるだろう」なんて考えていたのです。
しかし、僕はスピリチュアルなことを学んでいたので自殺したらどうなるのか知っていました。
自殺しても救われるどころか、死後の世界でも、来世でも、同じ苦しみが続くことを知っていました。
「自殺しても楽にはなれない」と頭ではわかってはいたものの、生きていることにうんざりしておりました。
さんざんスピリチュアルなことを学んできたはずなのに、
自分なりに成長してきたつもりだったのに、
それでも「死にたい」と嘆いている自分が嫌でした。
もう疲れ果ててしまっていたのです。
だから僕は「できもしない」とわかっていながら、目に見えない存在に訴えつづけました。
「死んでもいいですか?」
返ってくる答えは常に【NO】でした。
「この世界は自由意思ですよね。『神』は僕らに自由意思を与えているんですよね。だったら死んでもいいのではないですか?」
そう言ってみました。
僕はこういう屁理屈が大好きなのです。
でも、何回尋ねても、返ってくる答えは【NO】です。
ハイヤーセルフから返ってくる答え、
タロットカードを引いたって、うんざりするほどいつも答えは同じです。
世の中には「次に生まれ変わったらこうしよう、ああしよう」なんて話している人がいますが、僕はもうこの世界に戻りたくはなかったのです。
今でも戻りたいとは思いません。
だから僕はまた「できやしない」とわかっていながら、目に見えない存在たちに訴えました。
「この宇宙から自分の魂を消してください!」って。
笑わないでくださいね。笑ってもいいんですけど。笑
でももう本当にそれくらい嫌だったのです。生きることも、生まれ変わることも。
もう必死になって、頼み続けたのです。
「生まれ変わらなくても済む方法を教えてください」って。
それから数日して、あることが起きました。
スピリチュアル系の本を読んでいたのですが、その本の中に『キリスト』に関する記述がありました。
簡単にいうと、
【誰の中にも『キリスト』はいる。自分自身の中に在る『キリスト意識』(キリストと同じ性質)を呼び起こし、誰でも『キリスト』になることはできる】
正確ではないかもしれませんが、こんな感じの内容だったと思います。
だから僕は瞑想しながら、必死に唱えたのです。
「私もキリストになります」と。
大胆不敵ですよね。
「なれるわけないだろ」と言われそうですね。でも試しに口にしてみたのです。
その言葉の重みもわからぬままに。
それから瞑想を続けるうちに体がぶるぶると震えてきて、猛烈な眠気が起こり、半分意識を失いました。
こういうことは、高次元の存在が肉体の僕らにコンタクトしようとするときに起きる特有の現象で、チャネリングを始めた頃の初期段階に起きやすいのです。
高い次元と低い次元の私たちとは波長が違いすぎて霊的コミュニケーションをするには非常に困難ですので、こちらの波動を一時的に調整することでコンタクトしやすい状態にもっていくわけですね。
僕はその圧倒的なパワーにただただ身を任せていました。
そのうち頭の中で、空の彼方から響いてくるような荘厳な声が聞こえてきました。
「あの方は、ドアの向こうにおられる」
その声はそう言ったのです。
声と同時に「閉じられたドアの映像」が見えました。
他にも何か聞こえたのですが、その時の僕のチャネリング能力の限界でそれ以上は聞き取れませんでした。
「あの方」とは『キリスト』のことだろうなと感じました。
「『キリスト』に近づきたいのなら、強い決意と、たゆまぬ努力で、自ら目の前のドアを開けなさい」
僕はそのドアの映像をそう解釈しました。
その声がハイヤーセルフなのか、聖人と呼ばれる存在なのか、天使なのか、それはわかりません。
きっと『キリスト意識』により近い存在ではないかなと思います。
それからまもなく、『奇跡のコース』の日本語版(ナチュラルスピリット)が発売されていることを知りました。
この本はまさに僕が求めていた本でした。
ナチュラルスピリット版は非公認ということや、翻訳のコンセプトの違いもあって、国内の一部の学習者の方たちの評価は低いようです。
しかし僕個人としては大変役に立ちまして感謝しております。
僕はこの時点でこの本が非公認であることを知りませんでしたが、まったく自然な形でこの本に導かれたのです。
なぜならこちらを翻訳された大内博先生の著作本を過去に拝読し、深い感銘を受けた経験があったからです。
強い信頼感がありましたので安心して学習を開始しました。
なぜこの宇宙は存在するのか、
肉体とは何なのか、
生きる目的とは何か、
『神』とは何なのか、
本当の自分とは何者なのか、
こういった基本的なことが書かれており、それまで学んできたスピリチュアルな知識を根本からひっくり返されるような内容でした。
今も読み続けていますが、とても難解です。
サラッと読み終えられるようなものではなく、一生をかけて読んで、学んで、その学んだことを実践していく、その繰り返しです。
最初に『コース』全体の概要が書かれた【テキスト篇】を読むのですが、
人によっては【ワークブック篇】を先に読む場合があります。
基本的にはテキスト篇、ワークブック篇、教師のためのマニュアル篇のどれから順番に読むかについて決まりはないようです。
最初に本屋さんでパラパラッとめくった瞬間、「ワーっ……」って思います。笑
一読するだけではさっぱりな難解な言い回しと複雑な内容で読み続けるのには苦労します。
僕はテキスト篇を読み終えるのに半年かかり、どうにも理解できなくてさらにもう一度読み直し、
結局テキスト篇を読み終えるのに一年かかりました。
さらにここから【ワークブック篇】という実践マニュアルに移行するのですが、
こちらもどんなに急いでも1年以上かかるように構成されています。
世界中でこの本はロングセラーになっています。
でも僕はこの本を自分から薦めることはしません。
読み始めて途中で挫折する人がたくさんいるからです。
それなりに覚悟が要る本です。
はっきり言って最初の頃は読んでいてとても辛いです。
内容が難解なせいもありますが、とにかくこれまでの自分が後生大事にしてきた価値観、人生観を徹底的に否定されるからです。
自分のマインドの中に潜んでいる自我(エゴ)が激しく抵抗するためです。
それまでに長年学んできたスピリチュアルな知識、正しいと信じてきたこと、それさえガンガン否定されますからショックは大きかったですね。
他のスピリチュアルな教えと共通点はいくつかありますが、
基本的に他のスピリチュアルな教えや宗教などのほとんどは二元論に基づいています。
自分がいて他人がいる。
自分は肉体の中にいる。
自分の外側に宇宙は存在している。
自分の外側で人生は展開していく。
自分の外側に『神』がいる。
コースは完全に一元論に基づいています。
自分が肉体の中にいることも、
この宇宙が存在することも、
自分以外に誰かが存在することも、
輪廻転生も、
すべては一瞬の夢にすぎないと教わります。
宇宙は最初から実在していないし、
『神』はこの宇宙の創造には全く関わっていないこと、
私たちは『神』によって創造された『神の子』であり、
その『神の子』は『神』の外側に造られたのではないこと、
今も私たちは『神』という存在の中で生き、『神』は私たちという存在の中で生きているということ、
こういった概念を基本にしています。
だから、これまで学んできたことと根本的に相容れないものが多々あるために途中で投げ出したくなるのが普通です。
もしもこの本を「サラサラ読めました」とか「すぐに理解できました」という人がいるなら、
その人はすでにキリスト意識に到達している人なのか、
ほとんど理解していないのに理解したと思い込んでいるかのどちらかでしょう。
『コース』は、何度も【反復、反芻】するようにと意図されています。
一冊の中に、同じような内容、同じフレーズが何度も繰り返されます。
肉体意識には、自分で自覚するよりはるかに複雑で巧妙なエゴがまとわりついています。
それはまるでぐちゃぐちゃにからまった糸のようです。
その糸を一本一本解きほぐし、
間違って持ち続けてきた信念から解放されるためには、
あえて複雑なプロセスが必要なのです。
これまでの人生で信じてきたことが、あれもこれも否定されます。
一切の妥協はありません。
でも僕にとっては、このカリキュラムほど救いになっているものはありません。
今でもコースを学んでいる最中です。
僕はいつかこの『奇跡のコース』を教えられる教師になれたらいいと思っていますが、それはまだまだ先になりそうです。
誰かにどれだけ影響を及ぼすことができるかどうかは、
自分自身がどれだけ信念を変え、
自分自身が人生でどれだけ実践できているかとイコールなのです。
僕の実践はまだまだ未熟です。
まぁ、気長に学んでいくつもりです。笑
『奇跡講座』と、ナチュラルスピリット社『奇跡のコース』のどちらが良いかというお話は避けておこうかなと思います。
ナチュラルスピリット版は確かに非公認ではありますが、大内先生が真摯に心血を注いだものであることは間違いないと思えるからです。
実はナチュラルスピリットの翻訳本はもう一つ存在しています。
『奇跡の道 兄イエズスの教え 』 (ヘレン・シャックマン 記 ウィリアム・セットフォード、ケネス・ワプニック 編 田中百合子 訳)
ナチュラルスピリット
こちらは僕はテキスト版を読み始めたもののすぐに挫折してしまったので内容について語ることはできません。
翻訳者が変わるとこんなにも印象が変わるのかと。
何だか違うものを読んでいるような感覚になりました。
(だから悪いという意味ではなく)
こちらの翻訳者は非常に敬虔なクリスチャンの方であり、
ひょっとしたら同じクリスチャンの読者にはとてもしっくりくる文体かもしれません。
僕も近い将来、再読にチャレンジしたいと思っています。
僕は海外の出版事情についてはわかりかねますが、
この日本に存在する三冊の翻訳本は、いずれもイエスに導かれて書かれたものと信じています。
コース三部作の翻訳作業はさぞかし大変なご苦労があったであろうと推測されます。
それぞれの翻訳者の方々は相当な覚悟と忍耐力でもってお仕事を貫徹されたであろうと想像できます。
大変難易度の高いこの大仕事を、イエスの導きなくして完遂できるでしょうか。
僕は到底不可能だろうと思います。
僕個人は、幸いにも各々の翻訳のコンセプトに違いがあることがマイナスになるどころかプラスに働きました。
コースの体系を多角的な角度から捉えることができ大変役に立ちました。
一冊で理解しにくかった箇所が、違う翻訳を読んで理解できた経験が多々あったのです。
だから僕は他の学習者の方がどうであれ、各々の翻訳された方々に対しては感謝しかありませんし、心から尊敬いたします。
これからコースに触れる方は、どの翻訳本を選ぼうか迷った場合、まずは先入観をもたずに聖霊やイエスに導かれるままに選んでいただきたいと思います。
本屋さんで実際に手に取ってもらい、ご自分のフィーリングで選んでもらうのが一番です。
どちらに導かれるか、それに正解はありません。
各々の学習者によって学びのプロセスは違っているからです。
ただどれを選んでいただいてもよいですが、三部作を通しで読まれる時は同じ翻訳者に統一するべきでしょう。
テキストは『奇跡講座』、ワークブックは『ナチュラルスピリットの奇跡のコース』というようにしてしまうと翻訳のコンセプトの違いで混乱してしまうと思います。
どれを選べばよいかどうにもわからぬ時は公認の『奇跡講座』版を選べば問題ないでしょう。
すべてはあなたの自由ですが……笑。